荒川光のブログ

日々の生活のなかで感じたこと、思ったこと、考えたことを気軽に書いていくブログです。

運転代行業の世界 ~追走の技術 その3 到着時の注意~

幾多の困難を乗り越えてようやく目的地に到着しました。

到着地のほとんどはお客様のご自宅でしょう。なかには別の店に飲みに行くという方もいらっしゃいますが、その場合はその店の駐車場が到着地ということになります。

今日はお客様のご自宅に到着した際に随伴車がとるべき行動と、その時の注意点について述べていきたいと思います。

まずはお客様の自宅の駐車場所が道路に面していて、そこに客車を停める場合です。

この場合、一般的には駐車スペースに近い道路上の端の方に随伴車を停めることになると思います。

そして客車が安全に駐車スペースに入れるように、随伴車のドライバーが客車の後方を確認しながら懐中電灯などを振って客車を誘導します。

客車の駐車が完了したら代行代金を伝えて集金し、必要に応じて領収書などを発行します。

以上のような流れが基本です。

次にお客様の駐車スペースが、家の敷地の入口から奥まった場所にある場合です。

この場合、代行会社によってルールは様々だろうと思いますが、私が勤めている会社では、お客様の自宅の敷地内には随伴車を乗り入れないことになっています。

私の住む田舎の県には広い敷地を持つ家が多く、門を入ってからかなり奥の方まで客車を走らせる場合があります。

そのような時は随伴車を門の外に停めて、随伴車のドライバーは集金に必要な道具一式(お釣りや領収書やボールペンなど)を持って客車のところへ向かいます。随伴車へ何度も戻ってこなくても、お客様のところで一度で集金を済ませてしまえるようにするためです。

お客様の自宅に到着したら随伴車のエンジンを切りましょう。

到着してから客車を駐車し、集金を終えてその場を立ち去るまで2~3分くらいのことですが、夜中にエンジンをかけたまま随伴車を停車させておくことは付近の住民の安眠妨害になるからです。

また無線機から聞こえてくる声も、寝静まった住宅街では場違いなほどうるさく響くものです。

「代行会社がうるさい」という近隣の住民からの非難は代行会社にだけ向けられるのではなく、それを利用しているお客様にも向けられることがありますので、お客様のためにも静かに行動しなければなりません。

特に頻繁に代行を利用されるお客様は、「あそこの旦那さんは毎晩毎晩飲み歩いて・・・」などと近所で噂されたりすることも田舎では多く、お客様に肩身の狭い思いをさせてしまいます。

お客様によっては代行を利用して帰宅したことを近所に知られるのを嫌い、自宅の前まで随伴車を来させない人もいます。

その場合には限度もありますが、一つ手前の角で随伴車を停めてそこからは歩いていくなどという対応を取ることもあります。

なかには「代行運転はここまででいい、ここから先は自分で運転して帰る。あと100メートルだけだから」などと言うお客様もいらっしゃいますが、それはやめてもらいます。たった100メートルでも飲酒運転ですし、その間に事故を起こす可能性もあるからです。

私がこの仕事に就くまでは意識したことはなかったのですが、このように代行で帰ってきたことを近所に知られたくないというお客様は思いのほか多く、驚きでもありました。

私自身も客として運転代行を利用したことは過去に何度もあるのですが、近所の目などを気にしたことは一度もありませんでした。

このことを会社の人たちに話したところ、それは私が「県外からやってきたよそ者で、家族もいない独り者で、地域社会と関わりを持っていない変わり者だから」だということでした。ナルホド。

しかし運転代行を後ろめたい気持ちで使うなんて、それに従事している者としてはちょっと寂しい気持ちにもなるってもんです。

もちろん誇らしげに利用するサービスではないかもしれませんし、この仕事だって、憧れて就くような職業ではないでしょう。むしろその反対であるとさえ思います。

でもお客様に金額を伝えたり、「ありがとうございました」とお礼を言うにも小声で囁くように言うことを要求されるお客様を見ていると、まるで相手を軽蔑しながら風俗通いをしている客、自分の娘にはそんな仕事をさせたくないくせに、自分は相手を見下しながらお金を払ってサービスを受けている客みたいに見えてしまいます。

別にこんなお客様に対しても怒りは感じませんが、もっと堂々として「いつもありがとうね」と爽やかに言ってくれるお客様の方が好感を持てるのは当たり前ですよね。

話が脱線してしまって済みませんでした。元に戻しますが、お客様の自宅に到着した時の注意点をまとめると、

随伴車のエンジンを切って静かにする。というか随伴車の存在を消す。

客車を誘導する時にも「オーライ、オーライ」などと声を上げずに懐中電灯を使う。

会話は小声でおこなう。

業務が終了したら速やかにその場を立ち去る。

つまり随伴車や代行会社のドライバーはできるだけ目立たないようにして、できることならお客様が自分で車を運転して帰ってきたかのように見せることができたなら(誰にって? 近所の人にですよ)、それが良い代行会社だというのが私の認識です。

賑やかな歓楽街から寝静まる住宅地へと移動するのですから、その環境の変化は大きいです。出発地の気分を引きずったまま到着してしまうとそれが言動に表れてしまうことがありますので注意しましょう。