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荒川光のブログ

日々の生活のなかで感じたこと、思ったこと、考えたことを気軽に書いていくブログです。

運転代行業の世界 ~追走の技術 その2 走行中の注意~

前回は出発時の注意点について書きました。2回目の今日は走行時の注意点についてです。

客車が先に出発し、随伴車はお客様のお帰り先まで後ろをついていくわけですが、追走においては単独走行とはまた違った走り方が必要になることがあります。

出発した後、客車と随伴車が前後に2台並んだ状態で走行して、その状態を維持したままで目的地までたどり着きたいものです。そのためのちょっとしたコツについて書いていきます。

 

 

目次

 

 

客車との車間距離をつめて走行する

基本的に追走中は、客車と随伴車との車間距離はつめ気味で走る方が良いと思います。どのくらいの車間距離で走ればいいのかについては、速度や路面の状態にもよりますので一概には言えませんが、客車に急ブレーキを踏まれても安全に停止できるギリギリの距離というのが答えに近いと思います。

ではなぜ車間距離をつめて走った方が良いのでしょうか?

理由は2つあります。

1つは当然のことながら、間に他の車両が入ってくるのを防ぐためです。車間距離が広過ぎると、車線変更をして間に入ってくる車がいたり、道路脇から出てきて間に入る車がいるからです。

「間に入れさせてあげればいいじゃないか、ケチだなぁ」などと思った人はいるでしょうか? 

その気持ち、素晴らしいと思います。私もプライベートで車を運転しているときには、できるだけ周りの車も気持ちよく走れるような運転を心掛けています。

しかし、随伴車を運転している時には事情は少し変わります。客車との間に一般車両が一台入っただけでどれくらい仕事がしにくいかということは、なかなか言葉では説明しにくいのですが、人によっては軽いパニックになるほど慌ててしまうものです。

客車のドライバーも、随伴車がちゃんとついてきているか心配でとても仕事がやりづらくなります。

私は東京や大阪などの大都市ではなく地方都市で仕事をしていますので、交通量も多くなく、間に他の車に入られるなどというのは100本走って1本あるかどうかくらいですが、あまり頻繁に間に入られるようだと「仕事上のミス」とみなされますし、自分にとっても客車のドライバーにとっても良いことはありません。

間に入った一般車両がゆっくり走る車だった場合、客車との距離はどんどん開いてしまいます。そのため、間に入った車と客車との間にもう一台車が入ってしまうということも起こり得ます。そうなるとその状態で追走することは極めて難しくなります。客車が右左折しても気づきにくいからです。

また、客車は交差点を通り過ぎたのに、その後ろの車で信号に引っかかってしまうということも起こり得ます。そうなるともう追走することは不可能で、客車がどこかで停まって待っていなければなりません。早く帰宅したいお客様にとっては、その待ち時間をストレスに感じることもあるでしょう。

ですので追走中は「客車との間に絶対に他の車を入れない」という気持ちで走らなければなりません。合流で一台ずつ交互に入っていくような場合は例外ですが、通常は牽引ロープでつながれているかのごとく後ろにぴったりとくっついて、「間に入ろうかな、入れるかな」などという気持ちすら起こさせないような運転が、結果的に安全運転につながるものだと思います。2台で1台というぐらいの意識で良いです。

車間距離をつめて走るもう一つの理由は、今走行している随伴車が「追走中である」ということを周りの車両に知らせるためです。

随伴車は普通屋根の上に会社の看板を付けていますし、車の側面や後ろに会社のステッカーを貼っているので代行会社の車だなということは誰が見ても分かります。しかしその車が単独で走行しているのか、追走中なのかということは車を見ただけでは分かりません。

見分けるヒントとしては、随伴車の助手席にも人が乗っていればその人が客車を運転するドライバーである可能性が高いので、今は単独走行中なのかなという仮説が立てられるくらいです。

また代行会社によっては色のついたランプを屋根の上などに取り付けておいて、それを点灯させたり消灯させたりすることによって走行状態を示していることもあるそうですが、それはその会社内でのルールであり、一般人が見ても分かるものではありません。

そんな随伴車が追走中だということを周囲に対してアピールできる方法があるとすれば、その一つが車間距離をつめて走るということになります。普通以上に車間距離をつめて走っている代行会社の車があれば、その前を走っている車が客車だと考えてほぼ間違いないでしょう。

そして随伴車が追走中だと気づけば、追走しやすいように配慮してくれる親切な人たちが世の中には多いのです。その人たちに甘えようと言いたいのではありませんが、「今追走してますよ~」ということを周りにアピールしながら走ることは仕事をしやすくし、安全にもつながるものだと思います。

代行車は救急車や消防車のような緊急車両ではありませんし、公共の道路を利用しており、なんら特別扱いされるべき車ではありません。

しかし最近では、一昔前に比べると運転代行の認知度が上がり、その仕事内容について理解してくださる方が増えたため、代行車が仕事をしやすいようにはからってくれる、優先してくれる人が多いと感じます。

一台ずつ交互に進むのが普通であるような状況でも、客車に続いて追走車も行かせてくれる人もいます。

 私などはできることなら「ただ今追走中」などの旗を屋根の上に立てて走りたいくらいですが、私の勤める会社ではそのようなことはしていませんので、追走中であることは態度で示さなければならないのです。

 

信号機のある交差点の通過

客車を追走中に前方の信号が黄色に変わりそうになったとしましょう。歩行者用の信号が併設されている交差点では歩行者用の信号が先に点滅しますので、その後車用の信号が黄色に変わることが予測できます。その時、客車がその交差点を通過するのか停まるのかを予想して走らなければなりません。

信号が黄色に変わりそうな時に、客車が早い時期から減速して停まる態勢に入る場合もあるでしょう。その場合には何の問題もなく対応できると思います。

しかし交差点の手前で客車が少し加速したようであれば交差点を通過するつもりなのでしょう。信号無視にならないように、随伴車も続いてその交差点を突破したいところです。

ここでのコツは、客車の加速に即座に反応して随伴車も加速し、できれば車間距離をもっとつめて、しかし万一客車が急ブレーキを踏んだとしてもこちらもすぐにブレーキをかけられるように足はブレーキペダルにかけておくといったところでしょうか。

客車のドライバーは急ブレーキをかけることなんてまずありません。乗っているお客様に不快な思いをさせるからです。

交差点の手前で加速したにもかかわらず、どうしても交差点の通過を断念しなければならなくなった場合でも(そもそもそんなことになること自体がそのドライバーの判断ミスですが)、急ブレーキはかけずに停止線をオーバーした先でやんわり停まるなどの運転をすると思います。随伴車は停止線で停まればよいでしょう。

黄色に変わりそうな信号機の通過は簡単そうに思えて以外と難しいものです。

交差点によっては、歩行者用の信号が点滅してから車用の信号が黄色に変わるまでに通常よりも長い時間がかかるような設定になっているものもあります。そのような信号の手前で早くから減速してしまうと通過できたはずの交差点を通過できないことになってしまい、効率の良い運転になりません。よく利用する道路で、その交差点の特性を知っている場合であれば適切な対応が取れると思いますが、そうでなければ上手くいかない場合もあるのです。

その信号で停まっても良いし、通過することもできるというタイミングで、客車のドライバーがどちらを選ぶかということは、そのドライバーの性格にもよりますし、お客様がどのような運転を期待しているかや、次の仕事への配車の状況によってもかわってきます 。

客車がどんな運転をしても、柔軟にそれに合わせた対応ができるようにしていきたいものです。

 

車線変更

片側2車線ある道路の走行車線を客車と縦列で走っているとしましょう。そして客車が右にウインカーを出しました。そのとき追越車線を車が走ってきていなければ、客車はそのまま右のレーンに車線変更し、続いて随伴車も車線変更すれば問題ありません。

しかし少し難しいケースとして、これから車線変更しようとしている追越車線に、後ろから車が走ってきている場合があります。この場合、客車が右ウインカーを出したら基本的には随伴車が先に右の車線に車線変更します。そうして後ろから走ってきている車を自分の車でブロックしておいて、その後自分の前に客車を入れるというのがやりやすいです。

客車が車線変更を終えてから自分もと考えていると、後ろからきた車が客車の後ろについてしまい、随伴車がその後ろということになりかねないからです。先にも話した通り、客車と随伴車の間に他の車を入れないようにする工夫が必要です。

別の例を見てみましょう。

走行車線を走っている客車が急に右に車線変更しましたが、随伴車の右隣を一般車両が走行していて客車につづいて車線変更することができない場合です。

客車がこのように、随伴車がついてこれるかどうかよりも車線変更を優先するような運転をする場合というのは、前方が工事中で右によけなければならないとか、停止車両や障害物があるのでそれを避けるというような、一時的でかつ緊急の車線変更の場合。

もう一つはすぐ先の交差点で右折しなければならないことに気づいた、もしくはお客様から急にそのような指示を受けたというような理由が考えられます。

そのような時には慌てずに落ち着いて、車線変更をした客車の後ろを走っている車の後ろに入る努力をすることです。短時間で右へ車線変更することができずにそのまま走行車線を走りつづけていると、客車がすぐ先の交差点で右折してしまい、随伴車はそのまま直進せざるを得ないなどという事態にもなりかねません。

だからといって右車線を走っている車の列の中に強引に車線変更をして割って入って行くのはもっと危険です。安全に配慮しつつ、客車のせめて2~3台後ろくらいには入りたいものです。そして2~3台先の客車は随伴車からは見えにくいのですが、客車の次の動向に注意して、対応できるようにしましょう。

余談になりますが、客車についていくのに必死なあまり、時に無理な車線変更などの乱暴な運転をしてしまうドライバーもいるようです。世間一般に運転代行のイメージが良くないことの一因にもなっていると思います。

ただ、追走するという特殊な走り方を強いられているため、やむを得ず不本意な運転を余儀なくされてしまうこともあるかと思います。それを大目に見てくださいというつもりはもちろんありませんが、そのような運転をする可能性が高いと認識しておくことは、事故のリスクを減らすのに役立つかもしれません。

 

客車との間に他の車両が入った時

車線数が減少する場合や別の道路からの流入などで、車が合流する場面があります。客車と随伴車との間に他の車両を入れたくないのが本音なのですが、状況をよく見極めてスムーズに合流しましょう。

交互に1台ずつ車が入っていくような状況ではもちろん客車との間に1台入ることになります。そしてその1台がその先でもう1台車を入れるというようなことがあると、間に2台入ってしまいますので非常に運転しにくくなります。

そんな場合の走り方について見ていきましょう。

客車が背の高い車で、間に入っているのが背の低い車であれば、随伴車から客車の姿を見ることができます。しかしその逆だった場合には見えません。その状態で走っていくのは非常に不安なものです。客車に対してその後ろの車の速度が遅いと客車との距離はどんどん広がっていきます。あまりに距離が開くとその間にもう1台入ってくることだって起こります。

このような状況では客車がどの車なのかを見間違えてしまうことも起こります。

「今交差点を左折した車は客車だったかな? だったら自分も左折しなければならないし、でも客車に似ていたけど客車じゃないかもしれない」

こんな不安が頭をよぎったりしたら、心配で仕事どころじゃなくなります(仕事中なんですけどね)。

そんな不安をいくらかでも減少させるための方法としては、出発前に客車をよく観察して客車の情報をできるだけ多く持っておくことです。

特にテールレンズやハイマウントランプの形状や位置をよく覚えておくとよいでしょう。カーブを曲がるときや坂の昇り降りなどの際にわずかに見える車体の一部で、それが客車かどうか判別できるからです。 

車名や色だけしか覚えていないと、遠くから見たときにその車が客車かどうか分からないことがあります。夜だと紺色もグレーも紫も茶色もみんな黒に見えてしまいますし、似た形の車だと、見る角度によっては車名が分からないこともあります。

ですので、テールレンズなどの発光する部分の形状や、ルーフにキャリアを積んでいるとか、ジムニーなどのようにハッチにスペアタイヤがついているとか、客車の特徴を少しでも多く覚えておくことが有効です。

随伴車は屋根の上に看板をつけていることが多いので、客車からは随伴車がついてきているかどうかバックミラーで確認しやすいです。あまり遠く離れてしまうようであれば、客車が左に寄って停まって随伴車が来るのを待ってくれることが多いと思います(各会社のルールや客車のドライバーにもよると思いますが)。

再び客車と2台連なって走れる状態になるまで、とにかく客車と違う道を行かないように注意して走行しましょう。

 

追走中に注意しなければならない点は他にもたくさんありますが、今日は代表的な事柄にしぼってお伝えしました。

また機会を見つけて補足的に記事を書いていこうと思いますので、よかったらぜひお読みいただきたいと思います。