荒川光のブログ

日々の生活のなかで感じたこと、思ったこと、考えたことを気軽に書いていくブログです。

それって本当に便利なの? 実は不便かもしれない自動車の装備(その2)

前回に引き続き、自動車の一見便利に思える装備の矛盾点を突き、科学の進歩がもたらす弊害に警鐘を鳴らすシリーズの、待ちに待たれた? 第二弾(誰も待ってない)。

 

今日のテーマ「パワーシート」

 

パワーシートとは、簡単にいうとシートの前後の位置、背もたれの角度、座面の高さなどを、これもまたスイッチを操作するだけで任意のポジションに動かすことのできる装置です。一度合わせたシートポジションを記憶させておき、別の人が乗ってシートを動かしたとしても、また自分が乗るときにかつて記憶させたシートポジションを呼び出し、元通りの位置、角度、高さを再現できる機能が付いたものもあります。三通りのポジションを記憶できるパワーシートであれば、例えば家族三人が各々のシートポジションを記憶させておくことにより、各自が運転席に乗り込んだあと、すぐさま自分の最適なシートポジションにモーター様が動かしてくださる。高級車を中心に採用されている装備です。

これに対して手動式のシートがあります。これは従来からあったもので、シートを動かすための動力をモーターではなく人力から得るタイプのものです。この記事を書いている現時点では手動式の方がまだまだ主流です。

ではここで、パワーシートの功罪について考えてみようと思います。

まず功の方。

パワーシートは何といっても楽。しかも自動で動いてくれるシートにゆったりと身を委ねている姿は優雅。これが手動式の場合だと、特にシートを前方に動かす動作をしている人の姿は、見ていて少々どんくさい感じが否めません。人によってはかなり滑稽な姿になってしまうこともあります。クルマを運転したことのない方もいらっしゃると思いますので、イメージしやすいように描写してみましょう。

ある年配の女性が友人の軽自動車を借りて運転することになり、運転席に乗り込んだとします。しかし座ってみるとシートの位置が後ろすぎてペダル類に足がとどかない。ハンドルも遠い。そこで女性はシートを前方に動かそうと試みます。そのクルマのシートを前方へ動かすためには、シート前側の下に付いているレバーを引き上げてシートを固定しているロックを外し、その状態のままシートを前方に動かして希望した位置でレバーを下すという手続きが必要になります。イメージしていただけますでしょうか? 前かがみになって左手でシート下のレバーを引き上げつつ、おしりでシートを前に動かすのです。件の女性はこの通りの作業を当然おこなうのですが、そのときの身体の動き、これは美しい所作とは少しかけれたものとなってしまいます。左手でレバーを引き上げる姿は靴ベラを使わずにしゃがんで靴にかかとを入れようとする様に似ているし、おしりでエイヤッとシートを動かす姿はしゃくとり虫の進み方を彷彿とさせます。

この一連の動作は、身が軽く(尻が軽いのではない)、筋力と運動神経がほどほどにある主に若い人ほど、より少ない不格好さでやり切ることが可能なのですが、その反対の身体能力の持ち主は、優美さや上品さをあきらめなければならないでしょう。

ここで妙齢の女性ではなく、わざわざ年配の女性を例に出したことには他意はなく、その良く言えばユーモラスな動作を強調したかったがためなのです。悪しからず。

ピカピカに磨かれたメルセデス・ベンツの運転席に颯爽と乗り込み、華麗に足を車内に滑り込ませる。運転席のドアは静かに閉まる。その後例のしゃくとり虫的動作をおこなわなければならないとしたら・・・。少し残念な気持ちになるのではないでしょうか? ほんの一瞬の動作ではあるのですが、たとえ一瞬でも嫌だなと思う方のためにパワーシートはたのもしい味方になってくれるでしょう。

今度は罪の方。

その一つ目はシートの動きが遅いということです。ときにはシートを一番後ろまで下げたい、あるいは一番前まで出したいということがあるものです。シートの下に何かを落としてしまって拾いたいなどという場合なんかがそうですね。そのようなときにパワーシートは動きが遅く、せっかちな人はしびれを切らせてしまいます。手動式なら一秒で移動させられるのに。

二つ目はパワーシートはパワーウィンドウと同様に故障することがあるということです。故障して動かなくなったパワーシートを、経済的な理由から修理しないで乗っている人をたまに見かけますが、微妙に位置のあっていないシートでの運転は非常に快適さをそこなうもので、いくら乗り心地の良い高級車であったとしても、シート位置不適合による違和感を相殺することはできません。

さあどうでしょうか? パワーシートVS手動式シート。勝敗をつける必要もないしそんなことできもしませんが、私が乗るなら手動式シートの方を選びますね。パワーシートのクルマに乗る人物像は、修理代が払える経済力があって、遅いシートの動きにもイライラしないだけの時間の余裕まで兼ね備えた人。いつかはそんな風になってみたいものです。今の私にはお金がない上に時間もない。

では今日はこの辺で。